イケメン警察官、感情ゼロかと思ったら甘々でした

「橋口さん、こっちの書類、午後イチで公証役場に出せる?」

昼休憩前、オフィスの奥から真木弁護士の落ち着いた声が飛んできた。

「はい、大丈夫です。今まとめているので、すぐ用意します」

椅子を回して応じると、真木は書類を持ったまま、ふと顔を上げた。

「……この間の件、大丈夫か?」

突然の問いかけに、一瞬だけ胸がざわついた。

「件……ですか?」

「交番に行ったって話、君、少し顔色悪かったから。今も少し落ち着かない顔してるなって思って」

さすがだった。
いつもは事務的でクールな上司だが、そういうところだけは見逃さない。

「うまく言えないんですが……ちょっと怖いことがあって。けど、まだ“何かされた”ってわけじゃないから、警察も動けなくて」

そう説明すると、真木は少しだけ顔をしかめた。

「法律ってやつは、加害者が何かしてからじゃないと、ほんとに力がないからな。嫌な話だけど」

その言葉に、美香奈は小さくうなずいた。