「……神谷さんという警察の方が、外で待っていらっしゃいます。
ご本人は、ご無事かどうかだけでも確認できれば、と仰っていましたが……」
そう伝えに来た看護師に、美香奈は一瞬だけ視線を上げ、
ゆっくりと、しかし確かな意思を持ってうなずいた。
その反応に、看護師は小さく頷き、
ドアの外へ静かに戻っていった。
数分後――
軽くノックの音がして、扉がそっと開いた。
「失礼します。……橋口さん」
静かな声とともに、神谷が個室に入ってきた。
制服姿ではなく、病院に届けを出した落ち着いた私服。
けれど背筋は真っ直ぐで、表情は変わらず静かだった。
ベッドに横たわる美香奈は、目を逸らさずに彼を見た。
そして、しばらく迷ったあと――
枕元から、片手をゆっくりと伸ばした。
神谷はその意味を、すぐに理解した。
「……こちらに来ても大丈夫ですか?」
美香奈は小さくうなずいた。
神谷はその手を包み込み、
そのままベッドの横の椅子に腰を下ろす。
「無事で、ほんとうによかった」
低く、少しだけかすれたその声に、
美香奈の目尻がわずかに熱を帯びた。
「……ありがとう、ございます……
すみません、何も……ちゃんと……言えなくて……」
「言葉なんて、要りませんよ。
いま、こうして話せているだけで……それで十分です」
美香奈の指先が、神谷の手の中でゆっくりと動いた。
まだ完全には戻らない感覚。
でも、安心というものが少しずつ、自分の中に戻ってきていることがわかる。
「……怖かった、です……でも、神谷さんがいて……
たぶん、だから……ここにいられる気がして……」
「僕は、そばにいただけです。
でも、また何かあっても……
必ず、守ります」
その言葉に、美香奈は目を閉じて、小さく頷いた。
たとえまた不安が押し寄せても――
この手の温もりだけは、もう忘れない。
ご本人は、ご無事かどうかだけでも確認できれば、と仰っていましたが……」
そう伝えに来た看護師に、美香奈は一瞬だけ視線を上げ、
ゆっくりと、しかし確かな意思を持ってうなずいた。
その反応に、看護師は小さく頷き、
ドアの外へ静かに戻っていった。
数分後――
軽くノックの音がして、扉がそっと開いた。
「失礼します。……橋口さん」
静かな声とともに、神谷が個室に入ってきた。
制服姿ではなく、病院に届けを出した落ち着いた私服。
けれど背筋は真っ直ぐで、表情は変わらず静かだった。
ベッドに横たわる美香奈は、目を逸らさずに彼を見た。
そして、しばらく迷ったあと――
枕元から、片手をゆっくりと伸ばした。
神谷はその意味を、すぐに理解した。
「……こちらに来ても大丈夫ですか?」
美香奈は小さくうなずいた。
神谷はその手を包み込み、
そのままベッドの横の椅子に腰を下ろす。
「無事で、ほんとうによかった」
低く、少しだけかすれたその声に、
美香奈の目尻がわずかに熱を帯びた。
「……ありがとう、ございます……
すみません、何も……ちゃんと……言えなくて……」
「言葉なんて、要りませんよ。
いま、こうして話せているだけで……それで十分です」
美香奈の指先が、神谷の手の中でゆっくりと動いた。
まだ完全には戻らない感覚。
でも、安心というものが少しずつ、自分の中に戻ってきていることがわかる。
「……怖かった、です……でも、神谷さんがいて……
たぶん、だから……ここにいられる気がして……」
「僕は、そばにいただけです。
でも、また何かあっても……
必ず、守ります」
その言葉に、美香奈は目を閉じて、小さく頷いた。
たとえまた不安が押し寄せても――
この手の温もりだけは、もう忘れない。



