イケメン警察官、感情ゼロかと思ったら甘々でした

救急車のドアが開き、
冷たい夜風が車内にふわりと流れ込んだ。

その風に触れた途端、担架に横たわる美香奈の体がかすかに震える。
隊員はそれに気づき、そっと毛布の端をかけ直した。

「橋口さん、病院に着きましたよ。すぐにあたたかい場所に移動しますからね」

優しく声をかける間も、美香奈は不規則な呼吸を繰り返していた。
吸っては吐くまでの間が極端に短く、胸が浅く上下している。

かすかに目を開き、細い指先がゆっくりと持ち上がる。

神谷は迷わずその手を取り、両手で包み込むように握った。
その指が、ほんのわずかに握り返してくるのを感じる。

通用口には病院スタッフが待機しており、救急隊員から手際よく申し送りを受け取っていた。

「意識はありますが反応は弱く、過呼吸と低体温の状態です。入浴後と思われ、髪や衣類も濡れています」

それを受けて、神谷が一歩前に出て声を落とす。

「この方は現在、進行中の犯罪の被害者です。精神的にも不安定な状態なので、できれば個室対応をお願いします」

看護師は短く頷いた。

「承知しました。個室で対応します。申し訳ありませんが、男性の方はここまででお願いします。必要なときはこちらからお呼びします」

神谷は手をそっと離した。
その瞬間、美香奈の指先が名残を惜しむように、もう一度わずかに動く。

だがすぐに、そばにいた看護師が彼女の手を取り、やわらかく声をかけた。

「大丈夫ですよ、橋口さん。今は、体を休めましょうね」

そのまま、担架が静かに動き出す。
夜の冷気が再び流れ込み、ドアがゆっくりと閉じられた。