イケメン警察官、感情ゼロかと思ったら甘々でした

「手を上げろ!!そのまま動くな!」

神谷の声が響いたのと同時に、
警察官が複数名、室内になだれ込む。

中原は一瞬、凍りついたように動きを止めた。
だが、次の瞬間――美香奈に向けて伸ばしかけた手を、もう一度動かそうとした。

「やめろ!!」

神谷が即座に間に入り、
一瞬の判断で中原の手首を押さえ、背後に回り込む。

「抵抗するな!!」

逮捕術の型に従い、中原の動きを封じ、
背中で叫び声を上げるその体を、床へと制圧する。

手錠の音が、室内に乾いた金属音を響かせた。

その瞬間――

「……あっ……あぁ……っ」

美香奈の喉から、耐えきれない嗚咽が漏れた。

全身が震えていた。
ベッドの隅に押しつけるようにして座り込み、
顔を両手で覆ったまま、肩が小さく上下していた。

「橋口さん、大丈夫、もう安全です。
もう……大丈夫ですから」

神谷の声は震えていた。
でも、それ以上に優しかった。

彼女の前にしゃがみ込み、そっと目線を合わせる。

「僕が、来ました」

ゆっくりと顔を上げた美香奈の目に、
滲んだ光が広がった。

その視線に応えるように、
神谷は小さくうなずいた。

(間に合って、よかった)

その言葉を、胸の中で何度も繰り返しながら――

部屋の外から、救急隊員の足音が近づいていた。