イケメン警察官、感情ゼロかと思ったら甘々でした

「お願い……誰か……っ!」

美香奈の声が、喉を震わせて空間に漏れる。

その瞬間だった。

「――ガンッ!」

激しい音とともに、寝室の扉が大きく揺れた。
再び、もっと強く。

そして――

「ガシャァン!」

ドアが外側から蹴り破られ、
中原が姿を現した。

黒い影。
歪んだ笑み。
その手には、何か光る金属の棒のようなものが握られていた。

「やっと……やっと、捕まえた」

美香奈は後退りながら、ベッドの反対側へと逃れようとした。
だが中原は、迷いなく足を踏み入れてくる。

その距離が、あと数歩――

「――動くなッ!!」

一喝する声が、空気を裂いた。

扉の外。
廊下に、赤色の光が踊る。

中原が、わずかに動きを止めた。

「警察だ!その場から離れろ!!手を上げろ!!」

パトカーのサイレン音。
交差するライトの点滅。
そして、奥から走ってくる一人の影――

「橋口さん!!」

美香奈がその声に振り向いた瞬間、
閉じかけていた視界の奥に、神谷の姿が焼きついた。

“やっと来てくれた”。

涙と震えが、そのままこみあげてくる。

希望と恐怖がぶつかり合う部屋の中で――
すべてが、決着の直前に達しようとしていた。