イケメン警察官、感情ゼロかと思ったら甘々でした


「……もしもし、こちらは――」

神谷の番号に発信したまま、耳に届いたのは無機質な音声案内だった。
一瞬、通信が遅れているのかと思った。
でも、そのまま通話が切れてしまう。

(通じてない……?)

右手にスマホを握ったまま、
美香奈の視線は玄関のほうから逸れなかった。

「カチ……」

さっきより、ほんの少しだけ大きな音。
ドアノブの金属が揺れたような――そんな錯覚。

いいや、錯覚じゃない。

美香奈は、それがただの“気配”ではなく、
明確に“誰かがそこにいる”という確信に変わったことを、全身で感じ取っていた。

(いる――)

喉が音を立てるのを恐れて、息を飲み込む。
足はすでに、わずかに後ずさっていた。

胸元でスマホを握りしめる指先が冷えていく。
心臓の鼓動は速く、まるで全身に“警報”を鳴らしていた。

足音はしない。
けれど、玄関の向こうに誰かが“立ち尽くしている”気配だけは、確かにあった。

“かつて感じた、あの視線”。
今、まさに扉の向こうから――同じものがこちらを見ていた。