イケメン警察官、感情ゼロかと思ったら甘々でした

署内。
デスクの上に広がる資料を確認していた神谷のもとに、刑事がやや早足でやってきた。

「……中原、連絡がつかない。携帯もオフになってる」

その一言に、神谷の手が止まった。

「今夜、任意同行の予定だったな」

「ああ。日中の電話で“わかった”って言ってたらしい。
でも、時間になっても現れない。連絡も取れない」

神谷は数秒の沈黙ののち、立ち上がった。

「――まずい。今夜動くつもりかもしれない」

刑事がわずかに顔を曇らせる。

「橋口さんの居所、守れてるか?」

「一応、住所は非公開で押さえてるが……万が一にも備える」

神谷は携帯を取り出し、美香奈の番号を呼び出す。

画面を見つめながら、心の奥で警鐘が鳴っていた。

(頼む……まだ、間に合ううちに)

呼び出し音が静かに響く室内。

しかし、画面の表示は変わらなかった――

“発信中”。

神谷の表情が、わずかに強張る。

(出てくれ……橋口さん)

そのころ、中原の姿は――
まだ誰にも確認されていなかった。