イケメン警察官、感情ゼロかと思ったら甘々でした

鍵を閉めた。
チェーンロックも確認した。
窓の施錠も、ひとつずつ見てまわった。

それでも、胸の奥のざわつきは、静まらなかった。

美香奈は、コートを脱いでからも数分間、
リビングに立ち尽くしていた。

テレビをつける気にもなれず、スマートフォンを手に取っても誰にも連絡はできない。
あたたかな照明の中にいても、なぜか“誰かがそこにいそうな空気”が抜けきらない。

(……気のせい、だよね)

そう呟いて、ソファにゆっくりと腰を下ろした。

***

そのころ――

中原孝志は、自室のデスクに座っていた。
薄暗い部屋。
点いたままの監視モニター。
ごちゃついた紙類の下に、無造作に置かれた工具。

携帯電話が振動し、着信が画面に浮かぶ。

“警察署・生活安全課”

しばらく無音のまま、ただ画面を見つめていた。

そして――
通話には出ず、そのまま着信を切った。

指先が、机の端をかすかに叩いている。

数秒ののち、中原は立ち上がり、ゆっくりと奥の棚を開けた。

その手が、ある小さな箱に触れる。

――開かれる“次の扉”の音は、まだ誰にも届いていなかった。