イケメン警察官、感情ゼロかと思ったら甘々でした

コートの襟を立てて、マフラーを巻き直す。

吐く息は白く、街はすっかり冬の装いになっていた。

美香奈は、事務所から駅へ向かう道を、ゆっくりと歩いていた。
いつもなら慣れた道。
人通りもあり、夕方の雑踏がそれなりに安心感をくれるはずだった。

――でも、今日は違った。

(……何だろう、この感じ)

右後ろ。
ふと、誰かの足音のようなものが耳に引っかかる。

振り返る。
……誰もいない。

前を向いて歩く。
少しして、また――“背中を見られている”ような気配。

今度は、街灯の下に立ってみた。

街はざわめいているのに、自分の周囲だけが妙に静かに感じられる。

(気のせい……かもしれない)

でも――心はそう思っていなかった。

そのころ、警察では――
中原への任意同行の連絡が、本人に正式に入ろうとしていた。

携帯電話の振動音。
それが“何か”を動かすきっかけになることを、誰もがまだ知らなかった。