イケメン警察官、感情ゼロかと思ったら甘々でした

「――任意同行で、要請をかけましょう」

神谷の声に、刑事が静かに頷いた。

合鍵の発見。出入り履歴の不一致。
そして、監視映像との整合。

“まだ確定ではない”。
だが、十分に“話を聞く根拠”は揃っていた。

「情報の伝達は慎重に。本人には“点検報告の不備”として連絡を」

「了解」

段取りが静かに進んでいく中で、神谷の胸にはわずかなざわつきが残っていた。

(……このタイミングで、やつが動かなければいいが)

***

そのころ――

美香奈は、帰宅の支度を整えていた。

職場にはほとんど人が残っておらず、
冬の夕暮れが早々に空を染めていた。

カーディガンの袖を通したそのとき――

“ふっ”と、何かが視界の端を横切った気がした。

扉のガラス越し、廊下の奥。
人の気配……?

(……誰か、いた?)

自分が“疑り深くなっているだけ”だと、何度も言い聞かせてきた。
けれど、心の奥で、何かが――また近づいているような気がした。

まだ、警察からは何の連絡もない。

誰も知らない・・・・
“すべてが、同時に動き出している”ことを――