イケメン警察官、感情ゼロかと思ったら甘々でした

「橋口さん」

不意に呼ばれ、肩がびくりと揺れた。

振り向くと、廊下から真木弁護士がこちらを見ていた。
その顔には、特別な表情はない。
けれど、その目だけは、彼女の動揺を正確に捉えていた。

「……なにかあった?」

一歩、二歩と近づいてくる。

美香奈は一瞬ためらったが、やがて静かに口を開いた。

「……誰かに、見られているような気がして」

「見られてる?」

「はい。窓の外に……誰もいなかったんですけど。
でも、ずっと、背中のあたりがざわざわして……」

真木は黙って聞いていたが、すぐにうなずいた。

「念のため、今日は早めに切り上げようか。
無理はしない方がいい」

その一言に、美香奈の張り詰めていた心がふっと緩む。

「……すみません」

「謝ることじゃないよ。
用心に越したことはないし、君が落ち着いていられることが一番大事だ」

真木の言葉は、決して過剰でもなく、
でも、確かに“守ろうとする意志”がにじんでいた。

美香奈は、そっと息を吐いて頷いた。

“ちゃんと、ここにいてくれる人がいる”。

それだけで、少しだけ、部屋の空気がやわらかく感じられた。