イケメン警察官、感情ゼロかと思ったら甘々でした

「……いや、その、ほら。
鍵のことだって、本来は管理室に返す予定だったのが、ちょっと持ち出しがあって……」

中原は急に話題をすり替え、鍵の管理規則の不備や、別部署との連携ミスのような話を始めた。

だが、神谷はその流れに乗らなかった。

むしろ何も言わず、ただ中原の視線を真正面から受け止め続けた。

(言葉が増えすぎている)

焦りと不安。
どちらともとれるような言い訳が混じり合って、逆に“輪郭”を際立たせている。

そのとき、沈黙を破ったのは刑事だった。

「中原さん、話を戻しましょう。
“正規の業務ではない”出入り――記録にないものが、明確に映像に残っています」

中原の肩がわずかに動く。

「映像……いや、その、もしかしたら……たまたまですよ?
用事があって……現場近くまで寄っただけで」

「では、なぜ映像には、あなたが“居住フロアの奥”に入り、
一度エレベーターから戻るような動きまでしている?」

その言葉に、中原の唇が一瞬だけ引き結ばれた。

言い訳のトーンが、わずかに弱まっていく。

空気が、じわじわと張り詰めていく――
神谷は、ついに“疑念の確信”に手をかけようとしていた。