イケメン警察官、感情ゼロかと思ったら甘々でした

午前十時過ぎ。
神谷は署内の刑事課へ向かい、担当刑事と捜査資料を確認していた。

「……橋口さんの方は、様子どうだった?」

刑事がふと、書類から目を上げて問う。

神谷は一瞬だけ視線を外し、わずかに間を取ってから応じた。

「……昨夜、軽く電話しました。
不安そうでしたが、今朝は“少し落ち着いた”と話していました」

あくまで簡潔に、感情の機微も深く語らない。
非番中の“私的なやりとり”であることを、暗に示す形だった。

刑事はそれ以上は踏み込まず、うなずいて手元の資料に視線を戻す。

「捜査のほうだけどな――
マンションの監視カメラの映像から、不審な人物を一部確認できた。
鍵の扱いに妙な慣れがあってな。住人や友人じゃなさそうだ」

神谷がやや表情を引き締める。

「管理会社関係者の可能性?」

「ああ。とくに委託で巡回している保守業者や清掃スタッフも含めて、
出入りの履歴を洗い直してる。
共用キーの扱いや、防犯意識の甘さを突いた形かもしれん」

神谷はそれを聞きながら、目を細めてつぶやいた。

「現場の出入りに関して、少し見落としがある気がするんです。
情報の表面だけを見ていると、肝心なところをすり抜けられるかもしれません」

刑事は、神谷の“妙な感”を捜査ノートに書き添えた。

「いい。こういう直感も大事だ。掘ってみよう」

ふたりは、再度捜査方針を確認しながら、資料を分担して整理し始めた。

静かに、しかし確実に――
真相へ向かう道筋が、動き始めていた。