イケメン警察官、感情ゼロかと思ったら甘々でした

「……朝ごはん、作りますね」

そう言って立ち上がろうとした美香奈を、
神谷が慌てて手で制した。

「いえ、無理しなくても。まだ身体も……」

「大丈夫です。むしろ、何かしたい気分なんです」

ふわりと笑ったその顔に、昨夜の影はもうなかった。

「ほら、毛布までかけてもらって、あったかく眠れたので」

その言葉に、神谷は少しだけ照れくさそうに視線をそらした。

「……じゃあ、できることがあれば手伝います」

「お願いします。料理は得意じゃないので」

ふたりでキッチンに立つ。

小さなIHコンロに火を入れ、
トースターにはパンを並べる。

冷蔵庫を開けると、真木弁護士が気を利かせたのか、
最低限の食材や調味料が丁寧に並んでいた。

「この卵、賞味期限ばっちりですね」

「すごい……先生、完璧です」

そんな何気ない会話のひとつひとつが、
どこか、懐かしくて、優しかった。

包丁で野菜を切る音。
お湯が沸く音。
トーストの焼ける香ばしい匂い。

“いつもの朝”とは少し違うけれど――
それでも確かに、ふたりで迎えた最初の朝だった。