イケメン警察官、感情ゼロかと思ったら甘々でした

その日の夕方。
神谷は警察車両で、美香奈とともに新しい避難先へ向かっていた。

建物は駅から少し離れた住宅街の一角にあり、
外観はシンプルだが、手入れの行き届いた印象を受けるマンションだった。

「この建物の一室を、真木弁護士が用意してくれたそうです」

エントランスの前で車を降りると、神谷がそう説明する。

美香奈はその外観を見上げ、何度も小さく瞬きをした。

「……ここ、真木先生の……?」

「はい。
そして――すぐに生活できるように、必要な家電や家具、
寝具や食器類など、最低限のものはすでに搬入済みです」

「そんな……そこまで……」

美香奈は戸惑いを隠せないまま、思わず足を止めた。

「あなたが“少しでも安心できる場所”であるようにって、
真木さんが仰っていました。
もちろん、こちらでも防犯面は確認済みです」

神谷の言葉に、美香奈はうつむき、そっと息を吐いた。

その姿からは、安心と緊張がないまぜになった複雑な感情がにじんでいた。

だが――それでも、彼女はゆっくりと顔を上げた。

「……入ってみます」

エントランスのオートロックを開け、
神谷が先にエレベーターのボタンを押す。

これまでとは違う、けれど確かに“新しい部屋”への一歩が、そこから始まった。