イケメン警察官、感情ゼロかと思ったら甘々でした

午後。
刑事課が、美香奈の勤務先である法律事務所に連絡を取った。

電話に出たのは、事務所の代表であり彼女の直属の上司――
真木弁護士。50代前半、落ち着いた口調と理知的な風貌が印象的な人物だった。

「……橋口が、そんな目に?」

報告を受けた真木の声には、怒りというよりも、深く静かな衝撃がにじんでいた。

「彼女は、誠実でまじめな人間です。
仕事にも一切の手を抜かず、同僚や依頼者からの信頼も厚い。
そんな子が、自宅であんな被害に遭うなんて……」

刑事が、自宅が当面使えない状況であることを説明すると、
真木はすぐに言葉を継いだ。

「実は、私の名義で所有しているマンションがありましてね。
いま一室が空いているんです。場所も事務所からそう遠くありません。
もしよければ、しばらく橋口に使ってもらえないでしょうか?」

提案は簡潔だったが、その言葉には彼女を想う真摯さが込められていた。

「警察として安全確認のうえ、保護先として調整いたします。
ご厚意、ありがとうございます」

刑事が深く礼を述べると、真木は静かに「彼女の力になれるなら」と応じた。

のちにその報告を受けた神谷もまた、
「ありがとうございます。……きっと、彼女にとって安心できる場所になります」と、深く頭を下げた。

職場という“日常”の場所から差し出された優しさが、
彼女のこれからに小さな光を灯していた。