イケメン警察官、感情ゼロかと思ったら甘々でした

言葉をつないでいた美香奈の声が、ふと、ぷつりと途切れた。

呼吸の音が浅くなる。
胸の上下動が、次第に速く、荒くなっていく。

「……っ、は……あっ……」

指先が震え、ペンが手から滑り落ちた。

神谷はすぐに隣へ身を寄せ、低くやさしい声で話しかけた。

「大丈夫。深呼吸しましょう。ゆっくりでいい」

右肩にそっと手を置き、一定のテンポで優しく叩く。
慎重に、確実に。

「吸って、吐いて……そう、それでいい。
急がなくていいです。ここにいますからね」

言葉は短く、だが明確に、美香奈の混乱に“輪郭”を与えるようだった。

同席していた刑事はすぐに立ち上がり、
応接室の外へと素早く向かった。

数分後、彼の腕には薄いフリース素材の膝掛けと、
冷えたミネラルウォーターのボトルがあった。

「これ、使ってください」

神谷が礼を目で返しながら、膝掛けを静かに彼女の肩にかける。

冷えた指がその温もりに触れ、ほんの少しだけ力が抜ける。

「無理しなくて大丈夫です。
いまは、呼吸を整えるだけでいいんですよ」

神谷の声は、ゆっくりと波のように響いていた。

やがて、美香奈の吐息がわずかに落ち着きを取り戻していく。

肩の震えも少しずつおさまり、
閉じていた瞼の奥から、かすかに涙がこぼれた。

それでも、彼女は――戻ってこようとしていた。