イケメン警察官、感情ゼロかと思ったら甘々でした

コートの袖口に指を埋めながら、マンションの外階段を上がる。
休日の午後とは思えないほど、風が冷たい。

二階へ続く階段の一段一段が、やけに長く感じられた。
重く感じるのは荷物のせいじゃない。背中に張りついた、見えない気配のせいだ。

何度も振り返っても、誰の姿もない。
でも、心のざわつきは消えなかった。

玄関のドアを閉め、鍵をふたつ回す。
チェーンも確認してから、バッグをソファの上に投げ出した。

ふうっと長く息を吐いても、緊張はどこにも逃げてくれなかった。
リビングに差し込む午後の光さえ、どこかよそよそしい。

無音のテレビ、点けかけたスマホ、通知のないLINE画面。

繋がっているはずの世界が、まるで自分ひとりを切り離しているように思えた。