イケメン警察官、感情ゼロかと思ったら甘々でした

病室の中に、ふたたび静かな時間が流れていた。

ベッドの脇の丸椅子に腰かけた神谷と、シーツの上で身を横たえる美香奈。
さきほどまで漂っていた緊張は、いつしか和らぎ、
ふたりの間に流れる空気だけが、静かにゆらめいていた。

――コン、コン。

ドアの向こうから、控えめなノック音が聞こえる。

「すみません、そろそろお時間になりますので……」

看護師の穏やかな声が、空気を揺らす。

神谷は短く「はい」と答え、ゆっくりと立ち上がった。

何か言葉を添えるべきか、一瞬だけ迷ったが――
彼はそれをやめて、かわりに一言だけ伝えた。

「また、来ます」

その言葉はとても静かで、けれど、まっすぐだった。

美香奈は、ベッドの上からその背中を見送る。

そして、ドアに向かう彼の姿が半分見えなくなったところで、
ためらいがちに唇を開いた。

「……また、来てください」

神谷は振り返らなかった。
けれど、その背中は、ほんのわずかに――ふっと和らいだように見えた。