イケメン警察官、感情ゼロかと思ったら甘々でした

「……ありがとう、ございます」

その言葉は、神谷の「無理に話さなくていい」というひと言のあと、
しばらくの沈黙をはさんで、美香奈の口からこぼれた。

うつむいたまま、彼女の声は小さかったが、確かに届いていた。

「……怖かったんです、本当に。
自分の部屋なのに、もうどこにも逃げ場がないみたいで……」

神谷はその言葉に、首を縦にひとつ振った。

「怖くて当然です。……誰でも、そうなります」

彼はただそれだけを言った。

慰めるでもなく、同情するでもなく。
そのままの事実として、受け止めた声だった。

美香奈の肩が、すこしだけ力を抜いたように見えた。

「……あのとき、あなたがいてくれて……ほんとに、よかったです」

目を伏せたままのその言葉に、神谷は静かに息を吸って、吐いた。

「……よかったです。
俺も、あなたが無事でいてくれて、ほんとに――よかった」

言葉を選ぶことなく、素直に、それだけを口にした。

ふたりの間に、もう一度、静かな沈黙が流れる。

けれど、それはもう、痛みの沈黙ではなかった。