白く静かな病室。
夜が明けきらない薄明の時間帯、ゆっくりと、美香奈はまぶたを持ち上げた。
目に入ったのは、天井の間接照明とカーテンの影。
ぼんやりとした意識のなかで、自分がどこにいるのかを思い出すまでに数秒かかった。
喉が渇いていた。
体の節々が重く、力が入らない。
それでも、確かに“生きている”という実感だけは、胸の奥に残っていた。
その気配を感じてか、病室の扉がノックされて開く。
「お目覚めになりましたか? 無理に話さなくても大丈夫ですからね」
看護師がそっと声をかけながら、脈を測り、検温を始める。
一連の処置が終わったあと、看護師が静かに声をかけた。
「警察の方が、捜査の関係で、今後お話をしたいと言っています。
担当警察官に希望はありますか?」
その問いに、美香奈はほんの少しだけまぶたを閉じて、迷うような表情を浮かべた。
そして、かすれた声で、はっきりと答えた。
「……神谷さんが、いいです」
看護師は少し驚いたように眉を動かしたが、すぐに柔らかく頷いた。
「わかりました。お伝えしておきますね」
*
同じころ、署内の一室で刑事課の捜査会議の準備が始まっていた。
そこに病院からの伝言が届く。
「え? 神谷さん? 彼女、男性警察官を希望されたんですか?」
書類に目を通していた刑事課の係長が、連絡を受けて眉をひそめた。
「うちの担当じゃないはずだが……
ちょっと、神谷に確認してもらえる?」
やがて、神谷のスマートフォンが静かに震えた。
画面に表示された内線番号を見つめながら、
彼は何となく、その内容を予感していた。
夜が明けきらない薄明の時間帯、ゆっくりと、美香奈はまぶたを持ち上げた。
目に入ったのは、天井の間接照明とカーテンの影。
ぼんやりとした意識のなかで、自分がどこにいるのかを思い出すまでに数秒かかった。
喉が渇いていた。
体の節々が重く、力が入らない。
それでも、確かに“生きている”という実感だけは、胸の奥に残っていた。
その気配を感じてか、病室の扉がノックされて開く。
「お目覚めになりましたか? 無理に話さなくても大丈夫ですからね」
看護師がそっと声をかけながら、脈を測り、検温を始める。
一連の処置が終わったあと、看護師が静かに声をかけた。
「警察の方が、捜査の関係で、今後お話をしたいと言っています。
担当警察官に希望はありますか?」
その問いに、美香奈はほんの少しだけまぶたを閉じて、迷うような表情を浮かべた。
そして、かすれた声で、はっきりと答えた。
「……神谷さんが、いいです」
看護師は少し驚いたように眉を動かしたが、すぐに柔らかく頷いた。
「わかりました。お伝えしておきますね」
*
同じころ、署内の一室で刑事課の捜査会議の準備が始まっていた。
そこに病院からの伝言が届く。
「え? 神谷さん? 彼女、男性警察官を希望されたんですか?」
書類に目を通していた刑事課の係長が、連絡を受けて眉をひそめた。
「うちの担当じゃないはずだが……
ちょっと、神谷に確認してもらえる?」
やがて、神谷のスマートフォンが静かに震えた。
画面に表示された内線番号を見つめながら、
彼は何となく、その内容を予感していた。



