イケメン警察官、感情ゼロかと思ったら甘々でした

白く静かな病室。
夜が明けきらない薄明の時間帯、ゆっくりと、美香奈はまぶたを持ち上げた。

目に入ったのは、天井の間接照明とカーテンの影。
ぼんやりとした意識のなかで、自分がどこにいるのかを思い出すまでに数秒かかった。

喉が渇いていた。
体の節々が重く、力が入らない。

それでも、確かに“生きている”という実感だけは、胸の奥に残っていた。

その気配を感じてか、病室の扉がノックされて開く。

「お目覚めになりましたか? 無理に話さなくても大丈夫ですからね」

看護師がそっと声をかけながら、脈を測り、検温を始める。

一連の処置が終わったあと、看護師が静かに声をかけた。

「警察の方が、捜査の関係で、今後お話をしたいと言っています。
担当警察官に希望はありますか?」

その問いに、美香奈はほんの少しだけまぶたを閉じて、迷うような表情を浮かべた。

そして、かすれた声で、はっきりと答えた。

「……神谷さんが、いいです」

看護師は少し驚いたように眉を動かしたが、すぐに柔らかく頷いた。

「わかりました。お伝えしておきますね」



同じころ、署内の一室で刑事課の捜査会議の準備が始まっていた。

そこに病院からの伝言が届く。

「え? 神谷さん? 彼女、男性警察官を希望されたんですか?」

書類に目を通していた刑事課の係長が、連絡を受けて眉をひそめた。

「うちの担当じゃないはずだが……
ちょっと、神谷に確認してもらえる?」

やがて、神谷のスマートフォンが静かに震えた。

画面に表示された内線番号を見つめながら、
彼は何となく、その内容を予感していた。