ひとつ、ふたつ、ひみつ。

「も……、私のことはいいから、学校だよ。来たかったんだよね?」

抱きしめる腕を解いて、体を手で押しのける。

さすがに人前には出られないけど、私は真尋くんをフェンス側へ誘った。

下から屋上を見上げる人なんていないから、大丈夫だよね。
見られたとしても遠いから、真尋くんが私服を着ていることなんて気づかないだろうし。

「見て。あの人たちが皆、ここの生徒だよ。私と同じ服着てるでしょ?」

「本当だ……」

屋上から見えるのは、正門を続々と通って校舎に入る生徒たち。
私も、朝から屋上にいるなんて初めて。

あっくんがいるから遅刻にならなくて済んでいるけど、いつもギリギリの登校だから、もちろん屋上に来る余裕なんてないし。

「こんなに多くの人が同じ格好をしてるのは、見たことがないな」

やっぱり、真尋くんの世界の学校には、制服がないんだ。

「同じ服だけど、こまりが一番似合ってるね」

「う……、そういうの、大丈夫だから……」

屋上からのこの距離で、私以外の女子の顔なんて見えないでしょうに。