ひとつ、ふたつ、ひみつ。

話が噛み合っていない。

私は自分のスマホを取り出して、日本地図の画像を検索した。

「真尋くん、これが日本だよね?」

「うん」

あ、形は同じなんだ。

「私たちが今いるのは、ここで」

私は関東にあるひとつの県を指さして、次に東北の日本海側に人差し指を移動させた。

「東北のこの辺りは、毎年大雪でニュースになるよ。真尋くんの世界だと、北海道とか東北に雪は降らないの?」

「日本? ここが? いや……」

「……ん?」

あれ、私、小学校で東北六県って習ったよ……ね?

「俺の世界では、ここはもう日本じゃないよ。戦争が起こる前には、同じ国だったらしいけど」

「えっ? あ……」

聞いたことがある。
太平洋戦争で日本が敗戦して、勝戦国がそれぞれ日本を分割して統治(とうち)する案があったはず。

東京なんかは、四分割されそうになったって。

真尋くんがいたのは、その日本に似ている世界線ってこと……?