ひとつ、ふたつ、ひみつ。

デートなんて、その単語を言葉にするのも恥ずかしくて、目をそらして口元を隠す。

「こまり」

「え?」

「今すぐ俺から離れないと、抱きしめるよ」

「!?」

そんな予告、ある?

「な、なんでそうなるかな……!?」

「なんでって、顔真っ赤なこまりが可愛い」

真尋くんが、本当に手を広げて抱きしめるスタンバイをするから、私は両手で押しのけて部屋に逃げた。

「30分後に、リビングに集合!」

言い捨てるように叫んで、バタンと部屋のドアを閉める。

真尋くんは実際に行動に移しちゃうから、冗談なのか本気なのか、分からない。

私の好きな顔で、勘違いをさせるようなことを言わないで欲しい。

左胸を両手でおさえてないと、ドキドキとうるさい音と一緒に、飛び出してしまいそう。

何度でも、思う。すごい人を、家に招き入れてしまった。

「……はぁ」

少しだけ息が整ったところで、部屋のドアから顔だけを出す。

「……真尋くん」

「うん? なに、抱きしめていいの?」

「それは、やだ」

まだ言うか。

「真尋くん、昨日買った服、着てね。似合ってたから」

それだけを言うと、私はまたすぐにドアを閉めた。