ひとつ、ふたつ、ひみつ。


「昨日も言ったでしょ。真尋くん、復唱(ふくしょう)。こまりのベッドには、入りません!」

「こまりのベッドには、入ってもいい日に入ります」

「こらぁ! そんな日は、ありません!」

ふたりともパジャマのまま、リビングで正座。

昨日の夜に行った勉強会という名の説教は、真尋くんには少しも届いていないらしい。

「こまり、お腹減らない? 朝ごはん作るよ」

「もー、また、そうやってごまかして。ご飯食べてる間も、勉強会しちゃうからね」

「うん、いいよ~」

聞く気ないな、これは。

こういうの、真尋くんが元の世界に帰るまで、何回あるんだか。

あのスマートウォッチみたいなタイムマシンが直るまでって、言ってたけど。

……直るまで?

「真尋くん」

「なに?」

早くもキッチンで食材をいくつか用意している真尋くんに、背中側から声をかける。

「あのスマートウォッチ……じゃなくて、タイムマシン、あれって勝手に直るものなの?」

「あはは、無理だよ。俺が直すまでは、直らないでしょ」

「えっ、真尋くんが直すの?」

「もちろん」

タイムマシンを直せる10代って、どういうこと?