ひとつ、ふたつ、ひみつ。


なんでも作れるなんて言葉は、どうやら大口をたたいたわけではなかったようで。
真尋くんが夕飯に作った肉じゃがは、とてもおいしかった。

人が作ってくれたご飯なんて、久しぶり。

──それはそれとして。

「“あいさつは、キスでしない。”はい、繰り返して」

「えー」

「真尋くん!」

「あいさつは、キスしない」

「そう。“人前で抱きつかない。”はい」

「人前以外なら、大丈夫」

「勝手に変えない!」

「あはは」

夕飯の後に、ふたりでリビングに正座をして向き合って、勉強会。

真尋くんがこの調子だから、なかなか進まなくて、苦戦中。
明日は土曜日だから、夜ふかしをしてたっぷり説教。

真尋くんの服は、やっと丈がぴったりになって。洗面所のコップには、ひとりぼっちだった私の歯ブラシの隣に、買ったばかりの歯ブラシがお仲間に。

──非常識な同居人との生活は、まだはじまったばかり。