ひとつ、ふたつ、ひみつ。

「はぁ……」

胸に手を当てて、呼吸を落ち着かせる。

制服を、いつもの部屋着じゃなく、よそ行きのスカートに着替える。

部屋を出ると、真尋くんはリビングで、興味深そうにテレビ画面とにらめっこをしていた。

「真尋くん」

「ん? なに?」

「今から、一緒に買い物に行かない? 真尋くんの服とか、着てきたものと、そのサイズ合ってないスウェットしかないし。冷蔵庫ももう空っぽだから、買い足しもしたくて」

「でも俺、服はこれで困ってないし。わざわざ悪いよ」

「だってそれ、サイズ合ってないでしょ。真尋くんが色んな服着るの、見てみた──」

「え?」

「ん、んんっ。気にしないで。家事をしてくれるお礼だから」

あっぶな。
本音を咳払(せきばら)いでごまかして、建前(たてまえ)を重ねる。

「そっか、ありがとう。俺も、こっちの世界の外を見てみたいし、行こうかな」

「うん」

ふたりで玄関に向かい、鍵を開けようとして、ふと気づく。

「そういえば、真尋くんワープ使えたよね?」

「ああ、あれはね、住所が分かる場所とか、今まで行った場所以外には使えないんだ。使用者の中に具体的なイメージがないと、そこには行けない」

「そうなんだ……」

確かに、昨日飛ばされた場所は空の上だった。

真尋くんは、空を飛ぶのが好きだからって言ってたけど、そういう事情もあってのことなのかな。