ひとつ、ふたつ、ひみつ。

「そうだ、こまり。今日、うちの母さんが夕飯一緒にどうかって。ビーフシチュー作るってさ」

「あっくんのママのビーフシチュー、一から手作りだからおいしいよね。……あ」

……だめだ。
真尋くんが。
今日は帰ったら、服とかも買いに行かなきゃいけないし。

「うれしい……けど、今日はやめとくね」

「は? なんで」

「え? えーと、えーとぉ?」

いとこ……の言い訳は、隣の家にいるあっくんには使えない。
何かのきっかけでバレる可能性が高い。

「あ、昨日カレー作っちゃって。まだまだいっぱい余ってるから、今日もカレー食べなきゃいけないんだよねー、はは……」

目をそらして笑うと、あっくんが明らかに怪しむ顔で私を見る。

「……お前、やっぱり何か隠してないか」

だから、イケメンを隠してるんだってば。

「こんなにいっぱい一緒にいるのに、あっくんに隠しごとなんか出来ないよ」

あっくんは、不機嫌な表情のまま私の頭をガシッとつかんで、ぐわんぐわん揺らした。

「いっ、いたたたた」

「分かった。母さんに言っとく」

「うん、ごめんね。いたいいたい、やめてよ、もう」