ひとつ、ふたつ、ひみつ。


「おい、こまり、帰るぞ」

放課後になってすぐ、あっくんが私の席までやってくる。

今日は、誰からも呼び出しないんだな。

ふたりで一緒に教室を出て、廊下で鉢合わせた隣のクラスの女子ふたりが、私たちを目で追うのが分かった。

居心地、悪いな。
だって、絶対に……。

「長岡くん、付き合ってる子いないって言ってなかった?」

「あー、霞さんでしょ? いっつも一緒だよね」

……ほらね。
中学の時はそうでもなかった女の子からの視線が、高校に入ってからは全然違う。

こちらに向けられるひそひそ話が、よく耳に入るようになってしまった。

「幼なじみとか言ってるらしいよ。この歳で、そんなのありえなくない?」

「あっくんとか呼んでるしね。あれ、霞さんの方は絶対好きじゃん」

視線も言葉も、チクチク刺さる。

だって、いつから一緒にいるかも分からない幼なじみのことを、今さら呼び方を変えるなんて不自然なこと出来ないし。