ひとつ、ふたつ、ひみつ。

「なに? あんた朝から、ずっと変」

「え? そ、そうかな~」

あははと棒読みで笑って、手に持ったまま一口も食べていなかった購買のパンを、口に運ぶ。

正直、これを買いに行った時の記憶もほぼないけど。
ちゃっかり好物の、縦にカットかれたコッペパンにチョコが塗りたくってある、ベタチョコパンを買っていたらしい。

きなこ味、うま。

「なんかあったなら、話聞くよ」

「んーん、全然だよ。ありがとう」

花恋が優しくて感動するけど、昨日戸締まりのことを言及されたばっかりなのに、侵入者と一緒に暮らしはじめましたとは、口が()けても言えない。

真尋くんは、戸締まりとか関係なしに降ってきたから、不可抗力なんだけど。

「あ、そうだ、こまり。昨日言ってた、泊まりの話なんだけど」

ぎくり。
心臓が、音を立てる。

「明日の土曜日なら──」

「ごっ、ごめん、花恋! 自分から言っといてなんだけど、それ、しばらく無理そうで」

「そうなの? なんで?」

「えーと、あの。……いとこ。そう、いとこ! が、しばらくうちに泊まることになっちゃって」

「えー、急だね。あ、だから、せっかくのひとり暮らしだったのにって、朝から困ってたんだ?」

「うん、実はそうなんだぁ……、あはは」

……セーフ。たぶん。
真尋くんの存在は、心臓に悪すぎる。