ひとつ、ふたつ、ひみつ。

元来た道を、引き返す。

交番まで行って、警察に何を話すの?
この世界に、戸籍がなくて。身元も不明で。真尋くんのことを、どう説明したらいい?

だけど、でも、……助けてほしい。

交番が視界に入る。
手の甲でまぶたをこすって、一直線にその場を目指す。

扉にぶつかるように飛び込むと、先客がいたらしい。
出勤前に見える、会社員の女性が「きゃっ!?」と、小さく声を上げた。

「っ……、ご、ごめんなさ……い」

現実に頭を引き戻され、少し冷静になることが出来た。

大人しく、順番を待とう……。

女性は、「さっき、そこで拾ったんです」と、落し物を届けに来たようだった。

その手にあったのは……。

「あ、それ、私の……!」

私が真尋くんに預けていた、以前使っていたスマホと同じものだった。