ひとつ、ふたつ、ひみつ。

いつもは様々な人で賑わっている街も、時間帯が違うだけで、歩いている人の姿がほとんど見えなくなるなんて。

おかげで、焦っていてどれだけ周りが見えない私でも、誰にもぶつからずに走ることが出来る。

「はぁっ、はぁっ、はぁ……っ!」

がむしゃらにただ辺りを走っても、当然見つかるはずもない。

肩を激しく上下させて、涙でにじむ視界で必死に周りを見回す。

真尋くん……。そうだ、うちのマンションの近くじゃなくて、真尋くんのアパート。
もし、部屋の中で倒れたりしていたら……?

急がなきゃ……!

短い呼吸のしすぎで痛くなった喉元を抑えて、ごくんと飲み込む。
立ち止まる暇なんかない。
私は、駅の方へきびすを返した。