ひとつ、ふたつ、ひみつ。

「ふーん。まあ、そういうことにしてやってもいいけど」

「ほ、本当の話だってば」

「おばさんすごい心配してたから、ちゃんと謝っとけよ」

「あ、うん……。そうだよね。うん……、ありがとう」

「じゃ」

と、あっくんは軽く手を挙げて、(きびす)を返した。

もしかして、ママのことを伝えるためにわざわざ……?

「あ、あっくん!」

「なに」

「昨日、私の部屋の前に来たんでしょ? 何か、用があったの?」

真尋くんと部屋の中にいる時に、名前を呼ばれた。
私は、その続きを聞いていない。

「ああ、あれ?」

首を回して、後方の私に視線だけを向ける。

「クリスマスだから、ムードに流されてお前が俺を好きにならないかなって思ったから、部屋に行った。それだけ」

「え……」

あっくんの声で、聞いたことのないセリフが語られた。
“え”の形のまま固まった私のできる行動は、まばたきのみ。

「言っただろ。俺は、諦めてないって。忘れんなよ」