ひとつ、ふたつ、ひみつ。

「こまりっ!?」

「おっ、おはよう~、あっくん」

中に飛び込みそうな勢いのあっくんに、内心焦りながらあいさつをする。

後ろ手に扉を閉めて、鍵をかける。

「お前……、大丈夫か?」

「う、うん。虫がいたから、びっくりして転んじゃっただけだよ」

「虫? 分かった、俺が取ってやる。お前、昔から虫だめだもんな」

しまった。いいわけを間違えた。
今、中に入られたら、大変なことになる。

「だっ、だだ、大丈夫……! 気にしないで。遅刻しちゃうよ。早く行こう」

「なんだよ、遠慮すんなよ」

「してない、してない」

本当に、してない。
ごめん、あっくん。

早く部屋から離れたくて、あっくんの背中をグイグイと押して歩く。

「……こまり、お前、さっき誰かと話してなかったか?」

「!!」

異世界から来たイケメンと話してました……!