ひとつ、ふたつ、ひみつ。

──バタンッ!

「おい、こまり、なんだ今の音!? 大丈夫か!?」

尻もちをついて派手に転んだ音が、あっくんにも聞こえたらしい。
玄関から、ドンドンと扉を叩く音が聞こえる。

「な、なに、なん……っ!?」

「え? いってらっしゃいのあいさつ。こっちではしないの?」

「に、に、に、日本だよ、ここは!」

「俺がいたのも、日本だよ」

異世界の日本は、なんてハッピーな国なんだ。

「こっちの日本は、好きな人にしかしないの、そういうの……っ!」

「こまり、おい!」

だめだ、今はあっくんの方が先。

「もう、真尋くん、帰ったら一緒に勉強会ね! 隠れて、隠れて!」

真尋くんが玄関から見えなくなったのを確認して、私は玄関を開けた。