ひとつ、ふたつ、ひみつ。

ニコッと笑った顔が、私の目を真っ直ぐ見つめている。

私が好きな、真尋くんの笑顔だ。

「それでまた、何回でもこまりに俺を好きになってもらえるように、頑張る」

「っ……」

鳴り止まないスマホから、真尋くんの手の重みが消える。

「こまりのママ、今頃心配してるね。早く電話に出てあげて」

「……うん」

私は人知れず決意を固めて、スマホの画面を見た。
発信元は、予想通りの『ママ』。

「もしもし」

『あっ、こまり!? はぁ……、なんだ、出るんじゃない。あっくんが家にいないって言うから、心配したわよ』

「ごめん。花恋に誘われたから。あとから言えばいいかなって思って、出てきちゃった」

勝手に言い訳に使ってごめん、花恋。


『もう……。今まではひとり暮らしだったから、誰にも言わないで出かける癖がついちゃったんでしょ?』

「うん、そうかも」

電話口で軽くふふっと笑って、ごくんと空気を飲み込んだ。