ひとつ、ふたつ、ひみつ。


ストン、と軽く床に座り込んで目を開けてみれば、そこは自室とは違う場所だった。

電気がついていない部屋に、閉めたカーテンの隙間から月明かりが漏れている。

「ここ……」

「俺の部屋」

真尋くんはそっと私の肩をつかんで、抱きしめた体制から少し距離をとる。

「ごめん、いきなり」

「ううん。連れていって言ったのは、私だよ」

自室まで聞こえてくるくらいの、あの賑やかさが幻だったのかと思うほどに、ここは静か。

それは、真尋くんとふたりきりの空間だという、証。

「真尋くん、今日のバイトは?」

「もう終わったよ。だからすぐに、こまりに会いに行った」

「じゃあ、今日はいつまでも一緒にいられるね」

「いつまでもなんて、そんなこと言っちゃっていいの? ここは俺の部屋だから、他に誰も入って来れないのに」