ひとつ、ふたつ、ひみつ。


放課後になってすぐ、私は教室を飛び出して廊下を走った。

お昼にスマホを見た時に入っていたメッセージは、ママからの『ただいま~!』というもの。

ママは、午前中のうちに家に帰っていたらしい。

久しぶりに、ママに会える。

ママが外国に行ってすぐに真尋くんがベランダに降ってきたから、ひとり暮らしだった期間はたったの一日未満。

真尋くんがうちを出て行ってしまった今でも、毎日頻繁に会いに来てくれるから、思っていたよりも寂しくはない。

だけどそれは、ママに会えなくても平気ということではなくて。

「ママ……!」

マンションに着いて、五階。503号室の扉を勢いよく開けて、私は叫んだ。

「こまりっ。会いたかった~!」

「わぁ!」

姿を確認する前にガバッと視界をおおわれて、玄関先で転びそうになる。