ひとつ、ふたつ、ひみつ。

右手で軽く押しのけて、体勢を整えてソファーに座り直す。
だけど、真尋くんはまたすぐに私を強く抱きしめ直した。

「ど、どうしたの? 真尋くん、苦しい……」

「ごめん、こまり」

「? なにが……」

「前に、こまりには言ったことあるけど。俺……、そろそろここを出ていこうと思ってる」

「え……」

「だから、本当に俺のことは気にしなくていいよ」

お互いの間に、そっと距離が出来る。

「も、もう……決まったの?」

唇が震える。

見上げた先にある瞳が、気まずそうに細くなる。

「言えなくて、ごめん。実はもう、バイト先も決まってるんだ。ずっと、こまりには言いづらくて」

真尋くんに告げられた日から覚悟はしていたから、驚きはしない。

それに、これは真尋くんが私の世界で生きるのを決めてくれたからこそだから。