ひとつ、ふたつ、ひみつ。

洗面所に行ってから、キッチンへ顔を出す。
おいしそうなにおいがする。

「こまり、ちょうどよかった。出来たよ、朝ごはん。座って」

席に着くと、目の前に置かれたのは、トーストとベーコンエッグ。

「簡単なものでごめんね」

「ううん、おいしそう。ありがとう」

おお、異世界ごはんじゃない。普通に見慣れた普通のものだ。ちょっと安心。

「トースターとかコンロとか、俺の世界のものと大体同じで、よかったよ」

「そうなんだ……」

準備も面倒だし、朝ごはんなんてひとりの時には食べていなかったから、嬉しいな。

「こまり、昨日と同じ可愛い服着てるね。どこかに行くの?」

「学校だよ? これ、制服だし」

ないのかな、真尋くんの世界には制服が。

「学校? こまり、まだ通ってるの?」

むしろ、春に入学したばかりなのですが。