ひとつ、ふたつ、ひみつ。

大きな手が、頬と耳に触れる。
やわらかな唇がふわっと左頬に当たって、すぐに優しく包み込むように抱きしめられた。

「お昼ぶりのこまりだ」

「ちょっとしか経ってないよ」

「だって今日、帰ってくるの遅かったから」

「それは……」

「お腹減ってない? すぐ食べられるよ」

私の言い訳を遮るように、そっと手を離し、真尋くんは笑う。

朝の、私とあっくんのやり取りが聞こえていたのなら、さっきの会話も聞こえていないとおかしい。

なのに、今回は何も言わないんだ。
ちょっと、寂しい。

キッチンに向かう真尋くんの背中を、追いかける。

手を握ると、少しだけ驚く表情が返ってきた。

「こまり? どう──」

「わ、私は、真尋くんだけだからね」