ひとつ、ふたつ、ひみつ。

隣同士の部屋の前まで着いて、私たちはどちらからともなく、自分の家のドアノブを回した。

「……じゃあね、あっくん」

「ああ」

明日になれば、また同じ教室でクラスメイトとしての日常が始まる。
だけど、もう「また明日」は口にしない。

ドアを開けて、片足を踏み入れる。

──その時。

「こまり」

「え?」

家の中に向けていた視線を、振り向かせる。

「俺、諦めるとか、言ってないから」

パタン。

閉まった扉は、隣の504号室。

「…………え?」

「え」の形で固まった私は、何度目かのまばたきの後で、ようやく両足を部屋の中に入れることができた。