ひとつ、ふたつ、ひみつ。


一階とは違って、二階はほとんど人気(ひとけ)がない。

本棚と本棚の間を抜けて、一番奥の席を目指す。

誰にも見つからないように、隠れるように、窓際の席を選ぶのは……。

「いた……、あっくん」

「こまり!? なんで──」

「しー、図書館だよ」

「っ!」

小さな声で(いさ)めると、あっくんは右手のこぶしを口元に当てた。

「あっくんは、私と一緒の時は一階の学習室しか使わないのに、嫌なことがあった日は、ひとりで二階のここに来るんだよね」

「……知ってたのか」

「うん、ごめん。中学の時、あっくんがたまにひとりで帰りたがる日があったから、気になって後をついていったことがあるの」

「……」

「ここにあっくんがいるとね、見上げたら外から見えるから、すぐ分かるんだよ。窓際だしね」