「い、嫌じゃない……から、いつも通りにして……ほしい」

視線をななめ下にそらして、目をまっすぐに見ないようにしたけど、恥ずかしいものは恥ずかしい。

あっくんの声が、ずっと扉の向こう側から響いている。声色がイライラしていて、だいぶ()れているみたい。

「でも、真尋くんが嫌なら大丈夫! 学校行ってくるね──わぁ!?」

早口でまくし立てて、恥ずかしさでさっさと背を向けると、背後からぎゅうっと抱きつかれて、ぐっと息が詰まった。

「ごめん、ちょっと意地悪した」

「え? なんで?」

「んー……、とりあえずちゅーしていい?」

「えっ、だ、だめ……っ」

「無理。もう遅いよ」

「んっ……」

後ろから頬に柔らかいものが触れて、驚いた心臓が大きく音を立てる。