「こまりー、こーまーりー」

「はーい!」

ピンポンピンポンピンポンピンポッ。

「こまりー! 学校ー!」

ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンッ。

「はいはいはーい! 今行くから!」

また、いつもの朝がやってきた。

せっかく真尋くんが作ってくれた朝ごはんを、味わう時間もそこそこにかきこんで、503号室の前で名前を呼ぶあっくんに返事をする。

「ごちそうさま、真尋くん。いってきます」

「……うん。気をつけて」

「えっ、ど、どうしたの?」

真尋くんらしくないあからさまな低いテンションの返事に、私は鬼のように鳴り響くピンポンの音の中で、椅子から立ち上がる足を止めた。