ひとつ、ふたつ、ひみつ。

「な、な、な……っ!?」

一気に目が覚めた。

私のベッドに、生身の男の人がいる!
しかも、顔がいい。

「……ん? ふあぁ……、おはよ、こまり。ベッドから落ちちゃったの?」

「お、おはよじゃなくて、ま、まひろくん……!」

思い出してきた。

昨日、学校から帰ったら、イケメンがベランダに落ちていて。

不審者でも犯罪者でもないこの人は、タイムスリップとかワープとかが出来ちゃう、そもそもこの世界の人ではないそうで。

元の世界に帰れなくなったから、うちで暮らすことになった。

……と、いうのは、私のベッドに侵入していることへの説明には、ならないわけで。

「なんでここにいるの!? 昨日、ソファーで寝たでしょ!?」

霞家には現在、ベッドがひとつしかない。
ママが使っていたベッドは、古くなっていたこともあって、海外赴任を機に処分してしまった。

今後のママの一時帰国や、女の子の友達が泊まりに来た時は、私のベッドで一緒に寝ればいいだけだからと、新しく購入もしていない。

当然着替えなんて持っていない真尋くんが着ている服は、前にあっくんにもらった、お古のパーカーとスウェット。
あっくんより少し背が高いから、丈が微妙に足りてない。