ひとつ、ふたつ、ひみつ。

「あれ? 真尋くん、タイムマシンは? どこかに置き忘れたの?」

「ん? だって、もう必要ないでしょ」

「……」

あまりにもあっさりと答えるから、ぽかんと開いた口が、発声を失ってしまった。

いや、まあ、ずっとこの世界にいるってことは、確かにそういうことなんだけど。

あれは、真尋くんが元の世界から持ってきた、数少ない私物で。
出会った日から毎日ずっと、元の世界に帰るために、直そうとしていたもので。

そんなに簡単に手放せるものではない気がしたんだけど……。

「え……、す、捨てちゃったの?」

「捨ててないよ。あれは、所有者の近くから離れられないようになってるんだ」

「あ、そうなの……」

なんとなくホッとする。

「うん。タイムマシンは限られた人しか使えないものだし、どこかに落としたりして他人に悪用されたら困るからね」

そういえば、たぶん天才児なんだった。
真尋くんは、そんなすごい機械を使ってもいいと、選ばれた側の人。