ひとつ、ふたつ、ひみつ。

「すごいな。こまりは、そんなに簡単に隣の国に行ってるんだ」

「真尋くんもだよ」

「え?」

「言ったでしょ、一緒に行こうって。もう忘れたの?」

「……うん、行きたい」

少し悲しそうな笑顔だったのは、窓から射し込む光が、真尋くんの顔を逆光で暗く見せていたせい……だと思う。

心が、ザワザワする。

真尋くんは、ここにいるのに。
ここに、一緒にいるって、言ってくれたのに。

早く、次の約束をしないと。
約束がなくなれば、消えてしまうんじゃないかって、嫌な予感がする。

何を言っても、何を聞いても、ずっと不安が消えない。

「ま、真尋くん……」

隣の腕を、ギュッとつかむ。

──ぐう。

……と、お腹から空気の読めない音がした。

「あはは、お腹減った? もうお昼だしね。何食べたい?」

最悪すぎる。
お腹が減って、腕をつかんだみたいに思われた……!