ひとつ、ふたつ、ひみつ。

そこまで言ってから、私の様子の変化に気づいた真尋くんは、ふくらんだ頬を指でツンッと突いてきた。

「こまり、風船みたいになってるよ」

「……怒ってるの」

「えー、なんで?」

「いっぱいひどいこと言われたのに、真尋くんが全然怒らないから」

「だって、もう昔のことだよ」

「昔とか今とか、関係ないの。悪いことしたのに、真尋くんのお母さんは真尋くんにごめんなさいってしてないんでしょ。ちっちゃい子どもだって知ってることなのに」

「……」

私の頬をツンツンと突いていた手が、頭の上に移動する。

「な、なに……?」

「んー? んー。うん、なんでもない」

「なんでもな……って、う、ゆ、揺らさないで」

頭がぐらんぐらん揺れて、胸焼けみたいに気持ち悪い。