ひとつ、ふたつ、ひみつ。

真尋くんが、泣きじゃくる私の手を握る。

「嘘じゃない。こまりのそばに、ずっといたいと思った。今も、そう思ってるよ」

やわらかな唇が左のまぶたに落ちてきて、思わずギュッと目を閉じた。

え、キ、キスした? 今……。

「あ、涙止まったね。よかった」

「え、な……、今、のは、どんなあいさつ……」

びっくりして、私の口は変なことを口走る。

「あいさつじゃなくて、好きだからするキスでしょ」

「え……」

ポカンと固まる私に、真尋くんはさらに追い討ちをかけるように、頬にキスをする。

「こまりを好きになって、ずっとここにいたくなった。戻りたくなくなった。俺のせいで母さんは不幸になった。だから、そんなこと思っちゃいけないのに」